そこまでVWの業績不振が深刻だとは思わなかった
さて今回、VWが近年の業績不振に伴うコストカットの一環で、同社の歴史上初のドイツ国内工場の閉鎖を検討している、とCNN(アメリカ合衆国の衛星放送向けのニュースチャンネル)が報道しています。
また、工場閉鎖はVWグループの他のブランドが対象になるかもとの事。(VWグループはセアト、シュコダ、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ベントレー、ブガッティ、二輪ではドゥカティなどを傘下に持つ)
VWグループといえば、2016〜2019年にかけてトヨタを抜いて世界最大の自動車メーカーとなり、欧州では20年以上にわたって最大の市場シェアを維持してきた、言わずもがな超大企業。
現在は金融や保険、不動産業など150ヶ国で幅広く事業展開し、27ヶ国で100もの生産施設を運営しています。
それほどの企業が今回なぜ、販売に苦戦しているのか
今回の販売不振の主な原因として、
・新型コロナウイルスのパンデミック後、欧州内の需要低下が継続している
・最大の市場である中国で、中国現地ブランドに押されている
と報じられています。
VWグループのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は「欧州の自動車業界は非常に厳しく深刻な状況にある」とし、「経済環境の厳しさが増す中、新たな競合企業が欧州市場に参入している。特に製造拠点としてのドイツは競争力の面でさらなる遅れをとりつつある」と述べたとのこと。
この「新たな競合企業」というのが、中国メーカーを指すと思われます。
たしかに近年のVWは、経営戦略がことごとく功を奏していない
思えばディーゼルゲート事件以降、VWはかなり難しい立ち位置を繰り返しています。
トヨタのハイブリッド技術に対抗する為に、クリーンディーゼルを推し出したプロモーションをするも、ディーゼルゲート事件が発覚してあえなく自滅。
その後「EVシフト」でイメージ刷新を図るため、前CEOのヘルベルト・ディース氏を「電動化の遅れ」を理由に電撃解任しました。
しかしその「EVシフト」が欧州で思ったように上手くいかず、かつEVが欲しい顧客にはテスラと中国メーカーでほぼシェアを取られている状況。
この状況を重くみたEUは、今後の中国EVに対し関税を、従来の一律10%→17.4%〜38.1%に引き上げたほどです。
中国メーカーの勢いがどんどん世界を巻き込んでいる事が、如実に現れていますね。
約50万台、およそ2工場分もの供給過多に陥っている
こうした背景もあり、今回VWはドイツ国内の工場閉鎖を検討しているようですが、当然ながら従業員は気が気でない模様。
VWは「2029年まで雇用を維持する」と定めた労働組合との協定も打ち切ることを検討しているという事で、当然のこと労働組合の反発を招いています。
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