ロールス・ロイス、2030年までに全モデル電動化へ。それまでV12エンジンの製造を継続

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二代目「ゴースト」がガソリン・エンジン搭載の最終モデルに

さて、以前から超高級メーカーである「ロールス・ロイス」が、2030年までに全モデルの電動化を目指すと公言していますが、具体的な今後のモデル展開の予想などが報じられるようになりました。

ロールス・ロイスといえばやはり歴史あるV12エンジンの技術を持ちますが、これは現行の4ドアセダンの「ゴースト」が最終搭載モデルになるようです。

ちなみにロールス・ロイスは「ゴースト」の他に、フラッグシップの「ファントム」、同社初のSUVモデル「カリナン」、2ドアの「レイス」、レイスのソフトトップ・オープンタイプの「ドーン」、そして同社初の電動化モデルである「スペクター」が存在します。

今後はこの「スペクター」同様に、順次バッテリーとモーターのみで駆動させるという事ですね。

Photo:Rolls−Royce GHOST

ロールス・ロイスは自動車ブランドで唯一、電動化に障壁が無いと言っても過言ではないかもしれない

ロールス・ロイスが今まで長らくV12エンジンを採用してきた理由はずばり、「快適性・静粛性を極限まで追求してきたから」。

「フェラーリ」や「ランボルギーニ」、「アストン・マーティン」などのスーパースポーツブランドのフラッグシップモデルにも「V12エンジン」は採用されますが、それは圧倒的なパワーを生み出せる事が主な理由。

それとは対照的にロールス・ロイスはV12エンジンの構造上、ピストン運動の擂りこぎ運動を完全に抑える事ができ、それによるエンジン振動や騒音が少ないため採用しています(勿論、V12エンジンの十分なパワーで目的地までより早く、余裕を持って移動できるという面も重要視している)。

従って、EVがそもそもエンジンを積まない事による「無音、無振動」という特性はブランドが追求している方向性と一致します。

また、モーターの「瞬時に最大トルクを発生できる」特性は、巨体であるロールス・ロイスにも相性がよく、EVは変速機も必要ないため変速ショックとも無縁。

よって現在、ガソリンエンジン存続と電動化に右往左往している他メーカーを尻目に、「ロールス・ロイス」は電動化に迷いなく突き進む事が可能なのでしょうね。

ロールス・ロイスのEV構想は実は120年前にあった

「ロールス・ロイス社」は「チャールズ・スチュワート・ロールス」が輸入車代理店として設立した「ロールス社」と、「フレデリック・ヘンリー・ロイス」設立の火花の散らない安全な発電機医とモーターの開発で成功した電気器具メーカー「ロイス社」が1906年に合併する形で発足。

1907年発表の名車「シルバーゴースト」は、当時のガソリンエンジン車の中でも抜群に静粛かつスムーズな走行性能、卓越した耐久性を備えていて、後に「世界最高の自動車」と称されるまでに。

ただ、当時多くの電気技術者が電気自動車に期待を掛けていて、チャールズ、フレデリック両名ともその1人でしたが、当時の技術では難しく、チャールズは下記の言葉を残しています。

「電気自動車は、完全にノイズがなく、クリーンです。匂いや振動もなく、定置式充電スタンドさえ配置できればタウンユースでも重宝するでしょう。しかし、田舎での使用では、少なくとも今後何年もの間はあまり役に立たないと思います」 

ロールス・ロイスの共同創業者、チャールズ・スチュワート・ロールス卿


EVの欠点が100年以上経った現代でも未だ解決していない事に、なんだか複雑な気分になります。

ただ、電気自動車の未来が遠いことを早くから見抜き、ガソリンエンジン車の改良を目指すこととしたフレデリック・ロイスは、後に数々の名車を世に送り出し、今の「ロールス・ロイス」の礎を築くきっかけになっている事はとても興味深いですね。

やっと時代と技術が追いつき、同社初のEVとして誕生した「スペクター」

そして同社悲願のEVである「スペクター」が、120年の時を超え発表されました。

今回この「スペクター」というモデル名が「量産車に与えられたのは初めて」ですが、ドア前方から開く「コーチドア」や厳かな「パルテノングリル」、そして堂々と鎮座した「スピリット・オブ・エクスタシー」など同社の伝統は勿論、継承しています。

Photo:Rolls‐Royce

しかし、ファントムの後継としての4ドアではなく、2ドアクーペでリリースされたのも特徴的でこれは、若者をターゲットにしているからとのこと。

近年「ブラックバッチ」というシリーズ展開で積極的に若者へアピールしていることも功を奏していて、同社顧客の平均年齢は43歳だそう(また、2010年の段階で運転手を従えている顧客は全体の80%であったが、今や20%程度まで減少)。

今後ラインナップを全てEVに絞るという点で、やはり「平均顧客の若返り」は必須なのでしょう。(EVはデジタル機器との相性が良く、ITリテラシーの高い年齢層への訴求力が高い)

Photo:Rolls‐Royce

今後の電動化スケジュール

そして今後の電動化モデルに関してですが、まずは2027年に「カリナン」よりも小さなピュアEV・SUVが登場するとされています。

この新型EV・SUVの登場は数年先であるため、「スペクター」のユニットを流用せず、次世代の電動パワートレーンを採用すると予想されます。

そしてもう1つ登場が噂されているのが、2028年登場のEVセダン。

実質的には「ファントム」の後継になると言われていて、つまりフラッグシップモデルとなる予定です。

また、先日異動が発表された元BMWのデザイナー、「ドマゴイ・デュケック氏」がこれら2つの新型EVのデザインを担当するとでしょうから、デザイン面でもあっと驚く車に仕上がるかもしれません。

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