やはりユーロ7の内容緩和が大きく影響しているようだ
さて最近、「ポルシェがV8エンジンの開発を2030年まで継続する」との報道がありました。
これはポルシェ・パナメーラのモデルライン責任者であるトーマス・フライマス氏の発言によるもので、ユーロ7の内容緩和を受けてのもの。
いくつかの部品を追加することで、現在開発中のV8エンジンがユーロ7の基準を問題なくクリアすると語ったとされています。(しかもハイブリットなどの技術は無く、NAの状態で)
ポルシェは以前から合成燃料の開発によって内燃機関の存続を模索しつつ、タイカンやマカン、次期ケイマン・ボクスターのEV化など、車の動力源に関して多くの選択肢を残していますね。
ただし一方で、環境規制よりも騒音規制の方が厳しい
ただし、同氏は「騒音規制の強化で、パナメーラに搭載するV8 エンジンに良いサウンドを与えることがさらに複雑になった」ともコメントしていて、こちらの方が問題だとのこと。
以前フェラーリが、2018年からの騒音規制によって「V12・NAエンジン」を存続するのに頭を悩ませているという報道や、2021年にはポルシェ自身も「992型の911GT3のMT車をアメリカのカリフォルニア州で販売できない」と公式にコメントしていました。
最近はニュルブルクリンクなどのサーキット場でさえ騒音規制が設けてあり、街中での騒音規制の強化も致し方ない世の流れになっていますね。
自動車メーカーごとで、電動化へのアプローチは本当に様々だ
今、世界的にEV化への急ブレーキがかかっていると、このブログでも何度か取り上げていますが、それによる自動車メーカーの対応は様々ですね。
例えばメルセデス・ベンツは以前、「自動車業界はいずれEVへシフトする。よってモーターとエンジン両方を積んだハイブリット技術に開発・投資することは無駄である」と暗にトヨタを批判していました。
しかし最近になって、「2030年に全てのモデルを電動化する」という方針を変更し、「2030年であってもEV/ハイブリットの販売比率が50%に満たない可能性が出てきた為、引き続きガソリンエンジンを販売できる準備を残している」と方向転換を余儀なくされています。
VWグループも以前はディーゼル不正問題のイメージ払拭のため、電動化を積極的に推し進める方針であり、「アウディ・E−tron」や「ポルシェ・タイカン」「VW・ID」を早くからリリース。
逆にブガッティやランボルギーニなど一気にEV化が難しいブランドでは、新型車発表がゼロの時期があったほどでした。
現在はそのブランド数を多く抱えているグループの特徴を活かし、そのブランドに合ったEV戦略とよりデザインの差別化を図るようですね。
BMWは逆にEVが好調
そして興味深いことに、ドイツメーカーで異色なのが「BMW」。
BMWも早い時期からEVを販売しましたが苦戦。
そのためガソリンエンジンの開発継続、そしてEVにおいてもコストをかけずに(ノイエクラッセを除いて)ガソリン車と共通のプラットフォームを使用するという戦略を進めています。
その結果、「主力ではなく、ラインナップの一つ」であるEV(特に高価格帯)が逆に近年は販売好調とのこと。
BMWのCEO、オリバー・ツィプセ氏は「今年は北米、中国、ヨーロッパの主要地域で若干の販売量の増加を見込んでいます。私たちは、特に上級プレミアムセグメントの電気自動車については非常に楽観的です」と語っていて、「i7」や「XM」が販売好調で、同グループのロールス・ロイス「スペクター」が2年先まで完売していることからもその勢いを伺えます。
「電動化を推し進めてきた」メーカーがEVの販売不振でその方針を見直しているなか、「電動化に偏らないように舵を取ったメーカー」のBMWのEV販売が好調なのが、なんとも不思議ですね。
BMWのEV好調の原因は?
ではなぜ同じドイツブランドで、BMWだけEV販売が好調なのか。
これは僕の完全な予想ですが、「デザインの差別化」が大きな原因ではないかと考えています。
最近のBMWは特にデザインが度々話題になることが多く、いわゆる「ジャンボキドニー」もその一つ。
刺激的なデザインのモデル(4や7シリーズ、XMなど)と普遍的でスマートなデザインのモデル(3シや5シリーズ)とで、明確に個性を分けてターゲット層を絞っているようですね。
VWグループやメルセデス・ベンツはどのモデルもデザインの統一感がある反面、高価格帯のモデル(かつEV)を選ぶ訴求力が弱いのかもしれません。
先日もBMWは「ノイエクラッセ」を発表しましたが、これもかなり個性的で刺激的なデザインですね。
引き続き、BMWがどんなデザインのモデルを発表するのか楽しみです。
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