マクラーレン史上、最高性能のロードカー
マクラーレンが、新型ハイパーカーである「W1」を10月6日に発表しました。
この「W1」は、1990年代に伝説となった「F1」、新生オートモーティブカンパニーのアイコンとなった「P1」に続く「1の血統」を継ぐ、同社の最高峰ハイパーカー。
「W1」という名前はマクラーレンにとって特別な意味を持ち(Wはワールドチャンピオンを指す)、彼らの「世界選手権の精神」を称えるもの。
ちょうど50年前の1974年10月6日に、マクラーレン所属の「エマーソン・フィッティパルディ」がF1において世界ドライバーズ選手権で優勝し、同時にマクラーレン初の「コンストラクターズワールドチャンピオンシップ優勝」をも成し遂げました。
それゆえ、「W1」は同社にとって特別なモデルであるのは言うまでもなく、ブランドの威信をかけたハイパーカーに仕上がっています。
パワートレインは新開発のV8エンジン+プラグイン・ハイブリット
「W1」に積まれるパワートレーンは新開発の4リッターV8エンジン・ツインターボ「MHP-8」で、最高出力は928ps(つまりリッターあたり、驚異の233ps)、最高許容回転数は9200rpm。
これに加えて、347psを発揮する高出力エレクトリックモーターを組み合わせ、システムでの最高出力は1275ps、最大トルク1340Nm(136.7kg-m)を達成。
採用されるトランスミッションは新開発の8速DCTで「リバースギア」は存在せず、後退はエレクトリックモーターが担うことでトランスミッションを軽量小型化していて、これらが新しい油圧式電子デファレンシャルと組み合わせられています。
駆動力は8速DCT(バックは電気式)とEデフを介し、リア二輪へと全てデリバリー。つまりミッドシップ・RWDのレイアウトを採用しています。(これほどのパワーを後輪駆動のみで受け止めるという、マクラーレンらしいかなり攻撃的なレイアウト)
その驚異的な加速力を見てみると、0-100km/h加速は2.7秒、同じく200km/hまでが5.8秒、300km/hまでが12.7秒。最高速度は350km/hだと示されていますが、この最高速は電子的に制限されているとのことです。
マクラーレン得意の軽量エンジニアリングにより、車両重量はなんとたったの1,399kg
マクラーレンといえば、1980年からCFRP製モノコックボディを採用していますが、「W1」ももちろんそれが踏襲され、ただし今回は完全に新設計の専用品「エアロセル」を採用。
エレクトリックモーターと制御ユニットを統合することで軽量化を推し進めたeモジュールと、この新設計「エアロセル」により、車両重量はわずか1,399kgに抑えられ、パワーウェイトレシオは911PS/トンというクラス最高レベルです。
フォーミュラ1にインスパイアされたフロントサスペンションはインボード方式を採用し「エアロセル」に直接取り付けられ、外部から見えるフロントアームや主要部品の一部はチタン製、そして3Dプリントによって製造されています。
マクラーレンの真骨頂であるエアロダイナミクス
今やエアロダイナミクス(流体力学)が車両の性能を左右するといっても過言ではないですが、もちろんこの「W1」も徹底的にマクラーレンの新技術が投入されています。
「レースモード」を選択すると最低地上高がフロント37mm、リア17mmも下がり、さらに「マクラーレン・アクティブ・ロングテール」と呼ばれるリアウイングは300mmも後へずらされて、フロント350kg、リア650kg、合計最大1トンものダウンフォースを高速コーナリング中に発するとのこと。
フロントウィングも同様にアクティブに動き、必要に応じてダウンフォースを調整。
F1で目下、絶好調のマクラーレンですがその技術が申し分無く使われているのが分かります。
399台限定生産で、その価格は200万ポンド(約3億9000万円)
マクラーレンW1の価格は200万ポンド(約3億9000万円)からの設定で、生産台数は限定399台(既に全て成約済み)。
幸運にもオーナーに名を連ねられた人は、今後MSO(McLaren Special Operations)というマクラーレンのビスポーク・サービスを利用し、多種多様な「唯一のW1」に仕上げていくのでしょうね。
なお、このW1には包括的な保証(4年間/走行距離無制限の車両保証、6年間/75,000kmのHVバッテリー保証)と4年のサービスプランが標準で付帯されるといい、アフターサービスにもしっかり対応するとのことです。
SPEC:McLaren W1
ドライブトレイン:90度V型8気筒ツインターボ(MHP-8型)&ラジアル・フラックス型エレクトリック・モジュール搭載ハイブリッド
排気量:4.0L(3988cc)
レイアウト:縦置きミッドシップ/後輪駆動
最高出力:1275ps(ガソリンエンジン928ps/エレクトリック・モジュール347ps)
最大トルク:1340Nm/4500-5000rpm(ガソリンエンジン900Nm/エレクトリック・モジュール440Nm)
トランスミッション:8速DCT&Eリバース
サスペンション:F&Rダブルウィッシュボーン
ブレーキ:カーボン・セラミック・レーシング+(MCCR+)
ホイール:F 19×9.5J R 20×12.0J
タイヤ:F 265/35/R19 R 335/30/R20
全長×全幅×全高4635×2074×1182mm
ホイールベース:2680mm
トレッド:F 1676mm R 1624mm
最軽量乾燥重量:1399kg
パワーウェイトレシオ:911ps/t
燃料タンク容量:62L
バッテリー容量:1.384kWh
バッテリー充電時間:22分で80%(EVSEケーブル使用)
EV航続距離:2km
ラゲッジ容量(Wet/DIN):118L/87L
0-100km/h加速:2.7秒
0-200km/h加速:5.8秒
0-300km/h加速:12.7秒以内
最高速度:350km/h(電子的に制限)
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